グローバルファッション企業「エイチ・アンド・エム(以下、H&M)」が、米国およびラテンアメリカ市場における戦略を加速させている。米国では百貨店「ノードストローム(Nordstrom)」のオンラインマーケットプレイスに初参入し、同時にブラジルではリオデジャネイロへの出店を実現。販売チャネルと地域拡張の両面から成長機会を模索する動きが鮮明になっている。
Summary
- H&Mが米国で初めてノードストロームのオンラインマーケットプレイスに参入
- 低価格帯ブランドとして新たな顧客層へのリーチを狙う
- ブラジル・リオデジャネイロに初出店し、ラテンアメリカ展開を加速
- 2025年の売上減少を背景にチャネル戦略と地域拡張を強化
米国市場:Nordstromを通じた“間接流通”への転換
H&Mはこれまで、米国において自社ECおよび直営店舗を中心とした販売戦略を採用してきたが、今回初めて外部のリテール・マーケットプレイスへ進出した。出店先となるノードストロームは、比較的高価格帯を主軸とする百貨店であり、その中でH&Mはエントリープライス帯の商品として位置づけられる。
同マーケットプレイスでは、ウィメンズ、メンズ、キッズに加え、スポーツライン「H&M Move」など、幅広いカテゴリーの商品が展開される。キュレーションされた商品構成により、既存顧客とは異なる層へのアプローチを意図した設計となっている。
また、マーケットプレイスモデルを採用することで、ブランドは在庫・物流の主導権を維持しながら、ノードストロームの顧客基盤とサービスを活用する構造となっている。返品やカスタマーサービスはノードストローム側が担う一方で、商品供給はH&Mが担うハイブリッド型のオペレーションである。
この動きの背景には、米国市場における売上の鈍化がある。2025年には同地域での売上が減少しており、従来の直販モデルに加え、新たな流通チャネルの必要性が浮き彫りになっていた。
ラテンアメリカ市場:ブラジルを起点とした拡張
一方で、H&Mは新興市場において積極的な拡張を進めている。その象徴が、ブラジル・リオデジャネイロへの初出店である。ショッピングセンター「RIOSUL」にオープンした店舗は約1,400平方メートルの規模を持ち、開店初日には450人以上の来店客が列をなすなど高い関心を集めた。
H&MグループのCEOであるダニエル・エルヴェール(Daniel Ervér)は次のようにコメントしている。
