6月11日(現地時間)、英国の小売大手「フレイザーズ・グループ(Frasers Group Plc)」が、ドイツのファッションブランド「ヒューゴ ボス(Hugo Boss AG)」の残りの発行済み株式を約20億ユーロで取得する買収提案を行ったことが明らかになった。すでに約26%の株式を保有する同社は、ヒューゴ ボスの完全子会社化を目指す。
Summary
- フレイザーズ・グループが、ヒューゴ ボスの完全買収に向けた提案を発表
- 買収提案は1株当たり38ユーロの現金で、残余株式の取得総額は約20億ユーロ
- フレイザーズはすでにヒューゴ ボス株の約26%を保有
- ヒューゴ ボスは提案内容を「慎重かつ十分に検討する」とコメント
- 買収が実現すれば、フレイザーズはプレミアムメンズウェア市場での影響力をさらに強める見通し
提案価格は1株当たり38ユーロの現金で、発表前日の終値に対して約4%のプレミアムを上乗せした水準となる。提案に基づくヒューゴ ボス全体の企業価値は約27億ユーロと評価されている。買収提案を受け、ヒューゴ ボスの株価は6月11日の取引で一時約8%上昇し、2025年12月以来の高値を付けた。
ヒューゴ ボスは提案内容を精査
ヒューゴ ボスは声明で、今回の提案は同社と事前に協議されたものではないとしたうえで、「提案内容を慎重かつ十分に検討する」とコメントした。
一方、フレイザーズの株価はロンドン市場の取引開始後に下落。
同社は声明の中で、ヒューゴ ボスの持続的成長戦略を支持しているほか、最高経営責任者(CEO)のダニエル・グリーダー(Daniel Grieder)および監査役会議長のシュテファン・シュトゥルム(Stephan Sturm)への支持も継続すると表明している。
プレミアム市場への影響力拡大を狙う
フレイザーズは、マイク・アシュリー(Mike Ashley)によって創業された英国有数の小売グループであり、「スポーツダイレクト(Sports Direct)」や「ハウス・オブ・フレイザー(House of Fraser)」を傘下に持つほか、「エイソス(ASOS)」や「カリーズ(Currys)」などへの出資でも知られる。
近年は富裕層向け市場へのシフトを進めており、ヒューゴ ボスの買収はその戦略をさらに加速させる動きとみられる。高級メンズウェア市場におけるプレゼンス向上に加え、商品戦略や流通、ブランド展開に対する影響力を一段と強める狙いがあるとみられる。
また、フレイザーズは長年にわたりヒューゴ ボス製品を自社店舗およびオンラインチャネルで取り扱ってきた。2025年には、フレイザーズCEOでありアシュリーの娘婿でもあるマイケル・マレー(Michael Murray)がヒューゴ ボスの監査役会に加わっている。
再建途上のヒューゴ ボス
一方のヒューゴ ボスは、近年、中国市場における需要減速やウィメンズウェア事業の不振などの課題に直面している。
2021年にCEOへ就任したグリーダーは、商品ラインアップの整理やコスト管理の強化を進めながら、ブランドの成長回復に向けた改革を推進してきた。今回の買収提案は、その再建プロセスが続くなかで浮上したものとなる。
なお、フレイザーズは規制当局の承認取得を前提として、買収手続きを2026年下半期中に完了させる見通しを示している。
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