ヒューマンメイド(HUMAN MADE)を運営するHUMAN MADE Inc.は6月15日(現地時間)、アンダーカバー(UNDERCOVER)を展開するUndercover Co., Ltd.の全株式取得に向けた基本合意書を締結したと発表した。
Summary
- ヒューマンメイドがアンダーカバーの全株式取得に向けた基本合意を締結
- 株式譲渡契約は2026年9月、買収完了は2027年2月を予定し、アンダーカバーは2028年1月期第1四半期より連結子会社となる見通し
- 両ブランドを率いるNIGO®と高橋盾は、1993年に原宿の伝説的ショップ「NOWHERE」を共同設立した長年のパートナー
- ヒューマンメイドは文化的価値を持つブランドへの投資を成長戦略に掲げており、今回の買収もその一環として位置付けられる
今回締結されたのは法的拘束力を持たない基本合意であり、2026年9月の株式譲渡契約締結、2027年2月の株式取得完了を目指して協議を進める予定だ。取引が完了した場合、アンダーカバーは2028年1月期第1四半期よりヒューマンメイドの連結子会社となる見通しである。
取得価格は現時点では公表されておらず、独立した第三者機関による企業価値評価をもとに決定される予定だ。
ブランド買収を通じた事業拡大へ
アンダーカバーは30年以上にわたり、ストリートとモードの境界を横断する独自の立ち位置を築いてきた。一方のヒューマンメイドも、近年はブランド事業に加え、小売、飲食、ライセンス、コラボレーションなど事業領域を拡大してきた。
同社は今回の発表で、文化的価値を持ちながらも十分な事業成長余地を残すブランドへの投資を成長戦略として掲げていることを明らかにした。
発表によると、ヒューマンメイドは「人間の創造力とクラフトマンシップから生まれる文化を育み、日本を代表するクリエイティブ産業へ発展させる」という理念を掲げており、30年以上にわたり独自のブランド価値を築いてきたアンダーカバーは、その方針と高い親和性を持つ存在と判断された。また、両社はこれまでにもコラボレーションを実施しており、すでに事業上の関係性を構築していた。
裏原宿カルチャーの中心人物たち
今回の取引を象徴的なものにしているのが、NIGO®と高橋盾(Jun Takahashi)の関係だ。二人は1993年、東京・原宿に「NOWHERE」を共同設立し、後に世界的な影響力を持つ“裏原宿”カルチャーの中心人物となる。そこからさらに、NIGO®が「ア ベイシング エイプ(A Bathing Ape)」を、高橋がアンダーカバーを立ち上げたことで、東京発のストリートファッションは世界へ広がっていくことになる。
その後、高橋はパリコレクションの常連デザイナーとして国際的な評価を確立し、NIGO®はブランド経営者、クリエイティブディレクターとしてキャリアを広げてきた。
そうして30年以上にわたって並走してきた二人が、今度は企業グループという新たな形で再び交わろうとしているのだ。
ヒューマンメイドの新たなフェーズ
近年のヒューマンメイドは、ブランドとしての成長に加え、企業グループとしての存在感も高めている。
2025年には東京証券取引所への上場を果たしたほか、アディダス オリジナルス(Adidas Originals)、カウズ(KAWS)、リーバイス(Levi’s)、ヴェルディ(Verdy)などとの協業を展開。ブランド運営企業から複数の事業を抱えるグループ企業へと進化を遂げつつある。

また、欧州では、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton SE)やケリング(Kering)、OTB Groupなど、複数ブランドを傘下に持つファッショングループが存在する一方、日本では有力ブランドが独立経営を維持するケースが多く、ファッションブランドを中心とした大規模グループは限られてきた。
今回のアンダーカバー買収は、その構図に変化をもたらす可能性を秘めている。
もちろん現時点でヒューマンメイドが欧州のラグジュアリーグループと同列に語られる段階ではない。しかし、文化的価値を持つブランドをグループ内に取り込みながら事業基盤を強化するという方向性は、これまでの日本ファッション企業にはあまり見られなかった動きである。
日本発の新たなファッショングループ誕生の可能性を示唆する出来事として、今後の動向が注目される。
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