3月11日(月)〜3月16日(土)の6日間に渡り、楽天ファッション・ウィーク東京 2024年秋冬コレクション開催された。ショーのメイン会場には、例年同様、渋谷ヒカリエと表参道ヒルズが選ばれ、計43ブランドがフィジカルとデジタルそれぞれの形式の最新コレクションの発表を行った。
本記事では、楽天ファッション・ウィーク東京 2024年秋冬 ハイライト① に続き、楽天ファッション・ウィーク東京2024年秋冬に参加した計43ブランドから、OSFが抜粋したデザイナーたちの最新コレクションをハイライトで紹介する。
ミカゲシン(MIKAGE SHIN)
ミカゲシン(MIKAGE SHIN)は、2024年3月13日(現地時間)に、東京の表参道にて2024年秋冬コレクションを発表した。
今シーズン、「GAME CHANGER」というテーマを設定したミカゲシンは、そのミッションを当コレクションのみで完結させずに、ブランドの生涯を通して続けていく「命題」として掲げている。そんなテーマを基に作られたコレクションには、ブランド始動から4年目を迎える今、「ブランド自身の殻を破りたい」という想いと共に、各ピースに「意外」な要素をふんだんに盛り込んだものだった。
例えば、エレガントでフォーマルな印象のテーラードアイテムは、ブランドが得意とするプリーツや尖った裾などの構造的なパターンワークの表現は継続しつつ、大胆な異素材のドッキングを施すことで、まったく新しい姿に変貌。各ルックは、ファーやフリンジ、ヴィーガンレザー、棘状の刺繍、鮮烈なグラフィックなどの要素で、服の本質を新たな角度から解釈し、存在感とユニークさを一層際立たせた。
中でも目を引いたのは、ヴィーガンレザーとエコファーのレイヤーがドッキングされたベルト付きミニスカートだ。ヴィーガンレザーには独特の風合いがあるシボ加工が施されており、エコファーは、国内で唯一製造されている和歌山県産の最高品質のものが採用されている。本来のスカートとしても、パンツやアウターなどとレイヤードしても着用出来る万能なアイテムだ。さらに、ショーの招待状に描かれた奇妙な顔のアートは、そのままグラフィックデザインとしてニットセーターにも取り入れられ、独創性あふれるエッセンスを醸し出す。
「GAME CHANGER」とは、元来スポーツの試合で流れを一瞬にして変えるプレーヤーを指す言葉だ。これまであったルールを打ち破った時、人々は「BUG」を起こし、その次に混乱が訪れる。それは、理解不能なものに出会い、衝撃を受け、頭が真っ白になったときに起こる、何も考えられない危なげな瞬間だ。
そんな夢遊状態を、シアー素材やレース、ラメ糸のハンドカットジャカードなどの異素材で自由に表現したミカゲシン。キラキラと輝くフリンジのトップスやスカート、ワンピースに合わせたセーラーカラーのレースが、破壊から生まれる強さと繊細さのギャップを生み出した。
ミキオサカベ(MIKIOSAKABE)
ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)は、3月14日(現地時間)に、東京の国立競技場代々木第一体育館にて、2024年秋冬ショーを開催した。壮大なショー会場には、業界関係者以外に、芸能人やインフルエンサー、招待された一般客も来場し、これまでで最大規模となる4,000人の観客を動員した。
「The Day Today」と名付けられた2024年秋冬コレクションは、現代の日常生活の本質をより深めるために、日常的な存在をテーマにした演劇がコンセプト。
ショーの序盤は、控えめでミニマルなオフホワイトのルックから始まったが、ショーの進行と共に、大胆な装飾とボリュームが特徴的なドレスがいくつも登場していく。極端なまでにシルエットを誇張した存在感のあるルックは、歴史的な衣装から再現されており、ドレスにはピンキングやスラッシュ、刺繍の入った生地をふんだんに用いられた。さらに、同じ形状の人工的なポリエステルのジャージが織り交ぜられ、この対比がデザイナーの坂部 三樹郎が追求する「日常の延長」というコンセプトが見事に具現化されていた。
また、今シーズンは、人気の「JEWELRY BUBBLE」を、12センチの超厚底に改良した新作シューズ「 JEWELRY HIGH BUBBLE 」がお目見え。コレクションと連動した 1700年代のシューズをベースにしたデザインや、ラインストーンやグリッター生地などが使用された。
ショーのフィナーレでは、ホラー映画リングの主人公である貞子を連想させるような、長い黒髪で顔を覆ったモデルが2ルック連続して登場。プリーツやフリル、異素材の組み合わせなど、装飾の要素が詰め込まれ、異様なまでに存在感を放つドレスを纏って歩く姿は、観客に衝撃を与えた。
ヘンネ(HAENGNAE)
ヘンネ(HAENGNAE)は、3月16日(現地時間)に、渋谷ヒカリエにて2024年秋冬コレクションを発表した。
デザイナーのアンナ・チョイ(anna choi)が手がけるこのブランドは、「JFW NEXT BRAND AWARD 2023 審査員特別賞」、「TOKYO FASHION AWARD 2024 受賞」を受賞し、今回初めてファッションウィークに参加。
チョイは自身が韓国国籍を持つ日本育ちというバッググラウンドに加え、ニューヨークで得た自由な表現力、日本の職人技術、ヨーロッパのオートクチュール技法などを自身のアイデンティティに融合させ、唯一無二の洋服を展開している。
ショーでは、ヘンネの基盤となる「強きロマンチスト」の色、愛の赤、優しきベージュ、芯の強さを表す黒を軸に、フリルやチュールを多用したボリュームのあるドレスが数々登場。エッジを効かせたり、ティアードのように重ねたり、不規則なテクスチャーが組み合わせたりと、プレタポルテでありながらも、オートクチュールでしか再現できないようなロマンティックでエレガントな要素を存分に詰め込んだ。
チョイは、「私は制作期間を “ 愛を探している ”と言います。そして作品を完成させた とき、“愛を見つけた” と感じます。」とショーノートに綴り、「 本質を愛して継承していくことに価値があり、人種や性に対して多様な考えを持ち、動物自然環境に愛情を注ぐ、私が生きているうえで大切にしている思想そのものが、“愛でる哲学” に繋がっています。今作では、Chapter. 01から大切に紡いできた物語を今読み返し、その真髄にある愛を探しに行きました。」と、コレクションに対する想いを語った。