4月20日(現地時間)、フランスのラグジュアリーメゾンである「モワナ(Moynat)」は、ミラノ・モンテナポレオーネ通り3番地にイタリア初となるブティックをオープンした。16世紀のパラッツォ内に位置する同店舗は、歴史と文化的文脈を背景に、メゾンの新たな展開を象徴する拠点となる。
ミラノ デザインウィーク 2026 期間中に合わせて発表された同プロジェクトは、モワナが長年築いてきたデザインとアートとの関係性を再提示した。
Summary
- モワナがミラノ・モンテナポレオーネ通りにイタリア初のブティックをオープン
- ミラノ・デザインウィークに合わせ、アートプロジェクト「トランク」を発表
- ホールハウス、マリアナ・ラドレ、マイケル・サミュエルズの3組が参加
- トランクを「集合」「遊び」「記憶」として再解釈したインスタレーションを展開
トランクを再定義する3つの視点
今回のオープンに際し、モワナは、ホールハウス(Hall Haus)、マリアナ・ラドレ(Marianna Ladreyt)、マイケル・サミュエルズ(Michael Samuels)の3組のクリエイターを招聘し、「トランク」をテーマとしたインスタレーションを展開した。
ホールハウスは、ヒップホップのブロックパーティーにおけるサウンドシステム文化から着想を得て、トランクを「人が集まり、つながるための装置」として再解釈した。作品では、モワナの「M」モノグラムとホールハウス独自のグラフィックが融合し、異なるアイデンティティが交差するビジュアルを構築。積み重ねられたトランクはスピーカータワーのような構造を想起させ、旅の象徴であったトランクを、コミュニティのエネルギーを可視化する存在へと転換している。
マリアナ・ラドレは、メゾンのアーカイブに見られる多様なトランクの形状やディテールに着目し、それらを身体的に体験できるインスタレーションへと展開した。アップサイクルされたインフレータブル素材で覆われた大型ブロックは、ハンドルや金具、曲線的なフォルムといったトランクの要素を柔らかく再構成したものだ。来場者はそれらに触れ、動かし、組み替えることができ、従来は移動のための道具であったトランクを「遊び」と「空間体験」へと拡張している。


マイケル・サミュエルズは、トランクを機能から切り離し、彫刻的かつ建築的な存在として再提示した。1960年代のケースやヴィンテージ家具などを組み合わせた作品は、縦方向に伸びる構造体として構築され、まるで記憶を積み重ねた塔のような佇まいを見せる。そこでは「旅」は単なる移動ではなく、「時間」や「記憶の蓄積」として捉え直され、トランクは人間の経験を内包するアーカイブ的存在へと昇華されている。

クラフツマンシップからアートへ拡張するメゾンの思想
1849年にトランクメーカーとして創業したモワナは、長年にわたり旅行文化と密接に結びついた製品を生み出してきた。防水キャンバスを用いたトランクや、リムジントランク、シグネチャーロックなどの革新は、メゾンの歴史を象徴する要素である。
今回のプロジェクトは、そのトランクという原点を再解釈し、デザインやアートの領域へと拡張するものだ。ブランドの製品を超え、文化的・概念的な存在として再提示することで、モワナのクリエイティブな立ち位置を明確にしている。


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