ルメール(Lemaire)、フレグランスキャンペーンの”辮髪”イメージが中国で大炎上し謝罪

Lemaire

フランス発のファッションブランドである「ルメール(Lemaire)」が発表した新たなビジュアルキャンペーンが、中国市場において予期せぬ反発を招いている。初のオルファクトリーコレクション「Objets Senteur」のイメージが、清朝時代の歴史的記憶を想起させるとの指摘が広がり、中国のソーシャルメディア上で議論に発展した。ブランドは4月26日(現地時間)、文化的配慮の不足を認める声明を発表している。

Summary

  • ルメール初のオルファクトリーコレクション「Objets Senteur」のキャンペーンが中国SNS上で議論を呼んだ
  • 三つ編み状のオブジェと鋏のビジュアルが、清朝期の「辮髪」や「剃髪令」を想起させると指摘された
  • ブランドは4月26日に中国語・英語で声明を発表し、文化的配慮の不足を認めた
  • 中国市場を重視する戦略下でのタイミングとして、ブランドにとって重要な局面となっている

 

問題となったビジュアルと歴史的文脈

今回の議論の中心にあるのは、「Objets Senteur」と名付けられたルメール初の香りのコレクションだった。従来の香水とは異なり、香りを纏った手工芸的オブジェとしてのデザインボトルが特徴だ。

だが、中国のソーシャルメディア上での議論の発端となったのは、ローンチに際して公開された複数のビジュアルである。特に、長い三つ編み状のオブジェをモデルが身体的に扱う表現や、同オブジェが鋏と並置されたスティルライフが、中国の一部ユーザーにとって歴史的記憶を想起させるものとして受け止められた。

ここで参照されたのが、清朝時代において男性に強制された髪型である「辮髪(べんぱつ)」である。この制度は「剃髪令」として知られ、歴史的に文化的同化を象徴する政策の一つとされてきた。今回のビジュアルが、その象徴性と重ねて解釈されたことで、議論が拡大したと見られる。

また、関連する話題は週末にかけてWeibo上でトレンド入りしたとされ、ブランドの意図をめぐる議論が広がった。

謝罪対応とその受け止め

こうした反応を受け、ルメールは4月26日、中国語および英語で公式声明を発表。ブランドは声明の中で、文化的文脈に対する認識と感受性への配慮が十分でなかった点を認めている。

一方で、Jing Dailyによれば、この対応は一部のユーザーにとって十分とは受け止められなかったとされる。特に、歴史的文脈への具体的な言及や、ビジュアルの取り下げといった明確な是正措置が示されていない点が指摘された。

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中国市場におけるブランドリスクの再浮上

ルメールはこれまで、中国市場をグローバル戦略における重要地域として位置づけてきた。直近では上海において大規模な旗艦店展開を進めるなど、同市場への投資を強化している。

こうした中で発生した今回の議論は、ブランドにとってタイミングとしても重要な意味を持つ。過去には、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)、バレンシアガ(Balenciaga)、ディオール(Dior)といったブランドも、中国市場において文化的文脈をめぐる解釈の差異が議論に発展した事例がある。

グローバル市場、とりわけナショナルアイデンティティが密接に結びつく市場においては、デザインやアートの領域であっても、その受容は常に政治性と隣り合わせにある。

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