リシュモン(Richemont)、2026年度通期決算で堅調成長:第4四半期は11%増収、ジュエリー部門が牽引

Cartier
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スイスのラグジュアリーグループ「リシュモン(Richemont)」は5月22日(現地時間)、2026年度通期決算を発表。世界的な地政学リスクや原材料価格高騰が続く中でも、ジュエリーメゾンを中心とした強い需要を背景に、堅調な成長を維持した。

2026年度のグループ売上高は224億ユーロとなり、為替一定ベースで前年比11%増、実際の為替ベースでは5%増を記録。特に第4四半期は、為替一定ベースで13%増、実質ベースでも11%近い成長となり、年末にかけても高いモメンタムを維持した。

Summary

  • リシュモンの2026年度売上高は224億ユーロ、為替一定ベースで前年比11%増
  • 第4四半期も高成長を維持し、グループ売上は二桁成長を記録
  • 「カルティエ」「ヴァン クリーフ&アーペル」を含むジュエリーメゾン売上は165億ユーロ超へ拡大
  • 米州および中東・アフリカ市場が成長を牽引
  • 時計部門は依然として厳しい環境が続く一方、下半期には回復傾向も見られた

ジュエリーメゾンが引き続き成長を牽引

今回の決算で特に際立ったのは、ジュエリー部門の強さである。

「カルティエ(Cartier)」「ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)」「ブチェラッティ(Buccellati)」「ヴェルニエ(Vhernier)」を擁するジュエリーメゾンの売上高は165億ユーロに到達。実質ベースで前年比8%増、為替一定ベースでは14%増となった。

「ラブ(Love)」「パンテール(Panthère)」「アルハンブラ(Alhambra)」などのアイコンコレクションが継続的な人気を維持したほか、ハイジュエリー需要も世界各地で拡大。リシュモンは価格改定を慎重に行いながらも、ブランド価値と利益率の維持に成功した。

営業利益率は30.5%に達しており、グループ全体の収益性を大きく支える構造が改めて鮮明となった。

米州市場が成長を牽引、中国市場にも回復の兆し

地域別では、米州市場が引き続き最も力強い成長を記録した。

米州売上は為替一定ベースで17%増となり、全四半期を通じて二桁成長を維持。現地需要の強さに加え、ジュエリーと時計の両部門が好調だった。

また、中東・アフリカ市場も13%増と高い成長率を記録した。一方で、3月に発生した地域紛争の影響により、第4四半期には観光需要の鈍化も見られた。

アジア太平洋地域は全体で8%増となり、中国・香港・マカオ市場も夏以降に改善傾向を示した。韓国市場は特に好調で、売上は約14億ユーロに到達した。

日本市場についても、現地需要を背景に9%増を記録。第4四半期には28%増という大幅な伸びを見せた。

時計事業は依然厳しい環境 ボーム&メルシエ売却も発表

一方、「ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)」「ジャガー ルクルト(Jaeger-LeCoultre)」「IWC シャフハウゼン(IWC Schaffhausen)」などを擁するスペシャリストウォッチメーカー部門は、依然として厳しい状況が続いた。

売上高は31億ユーロで前年比4%減。ただし、為替一定ベースでは1%増となり、下半期には回復傾向も見られた。

特に「A.ランゲ&ゾーネ(A. Lange & Söhne)」「ジャガー・ルクルト」「ヴァシュロン・コンスタンタン」の改善が目立ったという。

また、リシュモンは2026年1月、「ボーム&メルシエ(Baume & Mercier)」をイタリアの「ダミアーニ グループ(Damiani Group)」へ売却する契約を締結したことも明らかにしている。

リシュモン会長のヨハン・ルパート(Johann Rupert)は声明の中で、次のように述べている。

「不安定な地政学環境が続く中、当グループは力強い成長と堅調な業績を実現しました。これは当社のビジネスモデルのレジリエンス、メゾンの強さ、チームの創造性と機動力、そしてバランスの取れた地域ポートフォリオの恩恵を反映するものです。」

さらに、「今後も不確実性は続く可能性が高いと思われます。特に中東情勢をめぐる展開には注意が必要です。そのような環境下においても、当グループは長期的視点と規律ある運営方針を維持しながら、メゾンの魅力を高め、持続的価値創出を目指して参ります」と続けた。

“ジュエリー主導型”へさらに鮮明化するリシュモン

今回の決算は、リシュモンが“時計グループ”から“ジュエリー主導型ラグジュアリーグループ”へと構造転換を進めている現状を改めて印象づけるものとなった。特に「カルティエ」や「ヴァン クリーフ&アーペル」の存在感は年々拡大しており、高級ジュエリー市場におけるリシュモンの支配力はさらに強まっている。

一方で、時計市場は中国需要の減速や市場環境変化の影響を受けやすく、今後もブランドごとの差別化戦略や供給調整が重要テーマとなりそうだ。また、グループ売上の77%が直営チャネル経由となったことからも、リシュモンがブランド統制と顧客体験強化をさらに重視していることがうかがえる。

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