ナイキ(Nike)2026年度第4四半期が売上高が市場予想を上回る:ホールセール回復が示す再成長への足場

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6月30日(現地時間)、グローバル・スポーツブランドの「ナイキ(NIKE, Inc.)」は、2026年5月31日に終了した2026年度第4四半期および通期決算を発表した。

第4四半期の売上高は110億ドルとなり、前年同期比で報告ベース1%減、為替変動の影響を除いたベースでは4%減少した。一方で、市場予想をわずかに上回る結果となり、事業再建を進める同社にとって一定の追い風となった。

通期売上高は464億ドルとなり、報告ベースでは横ばい、為替変動の影響を除いたベースでは2%減少した。依然として売上面では厳しい環境が続くものの、今回の決算は、エリオット・ヒル(Elliott Hill)CEOが進める構造改革が着実に前進していることを示す内容となった。

Summary

  • ナイキの2026年度第4四半期売上高は110億ドルとなり、市場予想をわずかに上回る結果に
  • ナイキ・ダイレクトは減収となった一方、ホールセール売上高は第4四半期に報告ベースで4%増加
  • エリオット・ヒルCEOのもと、ナイキはDTC偏重からホールセールとの関係再構築を含む長期成長戦略へと軌道修正を進めている

 

ホールセール回復が再建戦略の象徴

今回の決算で最も注目されたのは、ホールセール事業が回復基調を示したことである。

第4四半期のホールセール売上高は66億ドルとなり、前年同期比で報告ベース4%増、為替変動の影響を除いたベースでも1%増加した。北米市場での成長が牽引役となり、中華圏での減収を一部補う結果となった。

一方で、「ナイキ・ダイレクト(NIKE Direct)」の売上高は41億ドルとなり、報告ベースで7%減、為替変動の影響を除いたベースでは9%減少した。ナイキブランド(NIKE Brand)のデジタル売上は12%減少し、直営店売上も7%減少している。

前CEOのジョン・ドナホー(John Donahoe)体制ではDTC(Direct-to-Consumer)戦略を積極的に推進してきたが、現在はホールセールパートナーとの関係強化へと事業戦略を見直している。今回のホールセール売上の回復は、その方向転換が数字にも表れ始めたことを示している。

ブランド別では、ナイキブランドの第4四半期売上高は107億ドルとなり、報告ベースでは横ばい、為替変動の影響を除いたベースでは3%減少した。中華圏およびEMEA地域での減収が続いた一方、北米市場では成長を維持した。

また、コンバース(Converse)の売上高は2億4,400万ドルとなり、報告ベースで32%減少した。すべての地域で減収となり、ブランド再建は今後の課題となっている。

関税回収が利益を押し上げる

利益面では大きな改善が見られた。第4四半期の粗利益率は49.2%となり、前年同期から890ベーシスポイント上昇した。ただし、この改善には、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税の回収見込みによる約900ベーシスポイントの押し上げ効果が含まれている。

希薄化後1株当たり利益は0.72ドルとなり、このうち0.52ドルはIEEPA関税の回収見込みによる利益である。純利益は11億ドルとなり、前年同期比407%増となったものの、その一部は一時的な要因によるものである。

エリオット・ヒルCEO「長期成長へ向けた土台を構築」

決算発表にあたり、エリオット・ヒルは次のようにコメントした。

「2026年度において、私たちはNIKE, Inc.の基盤を強化し、長期的な成長に向けて事業を再配置するため、断固たる施策を実行しました」と、NIKE, Inc.の社長兼最高経営責任者であるエリオット・ヒルは述べました。「チームカルチャー、革新的なプロダクト、ブランド力、そして各国・各都市における消費者へのサービス提供のあり方において、『Sport Offense』戦略の土台を築くための重要な構造改革を進めました。売上面では引き続き逆風に直面しているものの、パフォーマンスプロダクトにおける進展には手応えを感じており、一貫した実行力、収益性の改善、そして成功事例の拡大に注力することで、当社の可能性を最大限に引き出していきます。」

ヒルが掲げる「Sport Offense」は、スポーツブランドとしての原点に立ち返り、商品開発やブランド価値の向上に加え、各市場との関係構築を強化する長期戦略である。ホールセールとの連携強化やパフォーマンスカテゴリーへの投資も、その重要な柱となっている。

投資家は依然慎重な見方

売上高は市場予想を上回ったものの、市場の評価は依然として慎重だ。

ナイキ株は2026年に入ってから約35%下落しており、約2年にわたるターンアラウンドへの期待に対し、投資家はより明確な成果を求めている。中華圏での需要低迷やデジタル販売の減速など、解決すべき課題は依然として残されている。

また、最高財務責任者のマシュー・フレンド(Matthew Friend)は、事業基盤の改善を着実に進めていることを強調した。

「第4四半期の業績は当社の見通しに沿ったものとなり、販売消化が引き続き厳しい、ますます困難な事業環境の中でも、財務規律を示す結果となりました」と、NIKE, Inc.のエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高財務責任者であるマシュー・フレンドは述べました。「当社は事業の健全性を改善し、プロダクトポートフォリオを管理し、マーケットプレイスの高度化に投資するとともに、長期的な効率性向上に向けて営業コストの調整を進めています。」

再成長への第一歩となる決算

通期では売上高464億ドルと前年並みだった一方、純利益は31億ドルとなり前年から3%減少した。ホールセール事業は堅調に推移したものの、NIKE Directやデジタル販売の減少が続いており、事業構造の転換は依然として進行中である。

今回の決算は、劇的な業績回復を示す内容ではない。しかし、市場予想を上回る売上やホールセール事業の回復は、ナイキが再建に向けて着実に歩みを進めていることを示した。

スポーツブランドとしての原点に立ち返り、商品力、ブランド価値、そして販売パートナーとの関係を再構築する「Sport Offense」戦略。その成果が今後どこまで業績へ反映されるのか、ナイキの次の一手に注目が集まる。

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