リシュモン(Richemont)、2027年度第1四半期売上高20%増:ジュエリーがラグジュアリー市場の成長をけん引

Courtesy of DAICI ANO/ Cartier

7月15日(現地時間)、スイスを拠点とするラグジュアリーグループ「リシュモン(Richemont)」は、2026年6月30日までの2027年度第1四半期決算を発表。売上高は63億2,900万ユーロとなり、前年同期から固定為替レートベースで20%増加。為替変動を反映した実勢為替レートベースでも17%増となった。

カルティエ(Cartier)やヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)をはじめとするジュエリーメゾンの成長に加え、時計事業も前四半期から改善。すべての地域と販売チャネルで売上高を伸ばし、不安定なマクロ経済と地政学的環境のなかでも力強い年度のスタートを切った。

Summary

  • リシュモンの2027年度第1四半期売上高は63億2,900万ユーロ。固定為替レートベースで20%増、実勢為替レートベースで17%増
  • カルティエやヴァン クリーフ&アーペルを擁するジュエリーメゾン部門が24%増となり、7四半期連続の2桁成長を達成
  • スペシャリスト・ウォッチメーカー部門も8%増と回復。米州、日本、中東・アフリカで2桁成長を記録
  • LVMHとケリングではファッション&レザーグッズが低調となる一方、ジュエリー部門は成長。ラグジュアリー市場の成長軸の変化が鮮明に

ジュエリーメゾンが24%増、7四半期連続の2桁成長

成長をけん引したのは、グループ売上高の約75%を占めるジュエリーメゾン部門だ。

ブチェラッティ(Buccellati)、カルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、ヴェルニエ(Vhernier)の4メゾンによる売上高は47億3,200万ユーロ。固定為替レートベースで24%増、実勢為替レートベースで21%増となった。

ジュエリーとウォッチの両カテゴリーが好調に推移し、すべてのメゾン、地域、販売チャネルで売上高が増加。ジュエリーメゾン部門としては、これで7四半期連続の2桁成長となる。

リシュモンは、継続的な新製品の投入と、アイコニックなコレクションの魅力を維持する取り組みが成長を支えたと説明している。単発のヒット商品に依存するのではなく、長期にわたり築いてきたデザインコードとクラフツマンシップを、現在の顧客に向けて更新し続ける戦略だ。

時計事業も8%増、米州と日本が回復を後押し

また、スペシャリスト・ウォッチメーカー部門の売上高は8億7,300万ユーロとなり、固定為替レートベースで8%増、実勢為替レートベースで6%増加した。

前四半期から業績は改善し、ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)、ジャガー・ルクルト(Jaeger-LeCoultre)、A.ランゲ&ゾーネ(A. Lange & Söhne)が特に好調だった。

地域別では、米州、日本、中東・アフリカで2桁成長を記録。アジア太平洋はおおむね横ばいとなり、中国、香港、マカオを合わせた市場の減少を、韓国をはじめとするそのほかのアジア市場の成長がほぼ相殺した。

長く調整局面が続いてきた高級時計市場において、ジュエリーほどの伸びには至らないものの、需要の底堅さと回復の兆しを示す結果となった。

日本は36%増、米州は27%増

地域別でも、すべての市場で売上高が増加した。米州は固定為替レートベースで27%増。現地顧客による旺盛な需要を背景に、すべての市場、販売チャネル、事業部門で成長した。ジュエリーメゾンとスペシャリスト・ウォッチメーカーが特に高い伸びを示している。

アジア太平洋は21%増。香港とマカオの需要が強く、中国、香港、マカオを合わせた売上高も2桁増となった。韓国と台湾を含む、そのほかの主要アジア市場も力強く成長した。

日本は36%増と、全地域で最も高い伸びを記録した。前年同期には15%減少していたものの、今四半期は現地顧客と旅行者の双方による消費が回復。すべての事業部門が2桁成長となった。

欧州は11%増。現地需要に加え、北米や中東からの旅行者による消費が寄与し、フランス、英国、ドイツが成長を支えた。一方、中東・アフリカは3%増。地域内の紛争によって旅行者消費が大幅に減少したが、現地顧客による需要がその影響を上回った。

直営店売上高は24%増、DTC比率は77%に

販売チャネル別では、直営店売上高が固定為替レートベースで24%増となり、グループ売上高の71%を占めた。中東・アフリカを除くすべての地域で2桁成長を記録している。

オンライン販売も18%増。日本、米州、アジア太平洋で特に大きく伸びた。卸売およびロイヤルティ収入は9%増となり、米州が最大の貢献地域となった。

直営店とオンライン販売を合わせたDTC、つまり最終顧客への直接販売は売上高の77%に達し、前年同期から2ポイント上昇した。

ジュエリーメゾンに限ればDTC比率は約85%。顧客との接点、価格、商品構成、ブランド体験を自社で管理できる直販モデルが、リシュモンの成長を支える重要な基盤となっている。

ファッション&アクセサリー部門も9%増

アライア(Alaïa)、クロエ(Chloé)、デルヴォー(Delvaux)、ジャンヴィト ロッシ(Gianvito Rossi)、モンブラン(Montblanc)などを含む「その他」部門の売上高は7億2,400万ユーロ。固定為替レートベースで9%増となった。

中東・アフリカを除くすべての地域で成長し、ピーター・ミラー(Peter Millar)、ジャンヴィト ロッシ、ウォッチファインダー&コー(Watchfinder & Co.)が2桁増を記録。モンブランも堅調に推移した。

ただし、グループ全体の成長を大きく押し上げたのは、依然としてジュエリーだ。ファッション&アクセサリー部門の改善を上回る速度で、ハイジュエリーとファインジュエリーの需要が拡大している。

ラグジュアリー市場の成長軸はバッグからジュエリーへ

今回の決算は、ラグジュアリー市場におけるカテゴリー間の温度差をあらためて浮き彫りにした。

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton)の2026年第1四半期では、ファッション&レザーグッズ部門がオーガニックベースで2%減となった一方、ウォッチ&ジュエリー部門は7%増加した。グループ全体のオーガニック成長率は1%にとどまっている。

ケリング(Kering)でも同様の傾向が見られる。2026年第1四半期のファッション&レザーグッズ部門は比較可能ベースで3%減となった一方、ブシュロン(Boucheron)やポメラート(Pomellato)を擁するジュエリー部門は22%増を記録した。グループ全体の売上高は比較可能ベースで横ばいだった。

これらの数字だけで、消費者の支出がハンドバッグからジュエリーへ全面的に移行したと断定することはできないが、2026年初頭の主要ラグジュアリーグループの業績を比較すると、ファッション&レザーグッズが勢いを欠く一方、ジュエリーが相対的に高い成長を続けていることは明らかだ。

価格上昇が続く環境下でも、希少性、素材そのものの価値、世代を超えて所有できる永続性を備えたジュエリーは、消費者にとって購入を正当化しやすいカテゴリーになっていると考えられる。

カルティエやヴァン クリーフ&アーペルといった世界的なジュエリーメゾンを中核に据えるリシュモンは、この市場構造の変化から最も大きな恩恵を受けるグループのひとつだ。

原材料価格の高騰や地政学的な不確実性は残るものの、全地域、全販売チャネル、全事業部門で成長を実現した今回の結果。ジュエリーをラグジュアリー市場の新たな成長エンジンとして位置づける動きは、さらに鮮明になりつつある。

Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.

Oui Speak Fashion Japan (OSF)® [ウィ スピーク ファッション ジャパン]をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む