4月30日(現地時間)、ドイツのスポーツブランドである「プーマ(PUMA)」が、2026年第1四半期において市場予想を上回る営業利益を計上した。売上は減少したものの、在庫管理の徹底とコスト構造の見直しが奏功し、収益性の改善が鮮明となった。
売上高は為替調整後で前年比1%減の18億6,000万ユーロ。一方、営業利益(EBIT)は前年同期比19.6%増の5,190万ユーロへと拡大した。減収下での増益という着地の背景にあるのは、在庫削減と、それに伴う利益率の回復である。
Summary
- プーマは2026年第1四半期、売上は減少した一方で営業利益が市場予想を上回る結果となった
- 在庫削減と在庫処分の加速により、利益率が改善し、収益構造の立て直しが進行
- 売上総利益率は47.7%へ上昇、DTC比率の拡大とコスト削減が寄与
- 過度な値引き依存からの脱却を目的に、商品ポートフォリオの縮小と流通の最適化を推進
- 一方で、ブランドの市場での存在感回復や新製品による需要創出が今後の課題として浮上
在庫最適化が収益を押し上げる
今回の業績の中核にあるのは、グローバルで進められてきた在庫整理にある。プーマは過去数四半期にわたり、過剰在庫と値引き依存という課題に直面してきた。
これに対し同社は、在庫回収と選定された卸売パートナーおよび自社のDTCチャネルを通じた在庫処分を実施。その結果、在庫は前年同期比で約8.6%減少し、約19億ユーロまで圧縮された。
決算説明会においてCEOのアーサー・ヘルド(Arthur Hoeld)は、「大規模な在庫整理は主に、昨年第3四半期および第4四半期に実施しました」と述べ、「余剰在庫は2026年末までに解消される見込みであり、現時点での在庫処分戦略は想定以上の成果を上げています」と続けた。
この在庫圧縮は、フルプライス販売への回帰を前提とした構造転換だ。プーマは今後、商品ポートフォリオの簡素化も進め、2028年春までにSKU数を中〜高二桁台の割合で削減する方針を示している。
利益率改善を支えた複合要因
また、収益性の改善は在庫削減だけによるものではない。売上総利益率は47.7%へと上昇しており、その背景には、在庫引当金の戻入に加え、輸送コストの低下、そしてDTC(直販)比率の上昇といった複合的な要因がある。
特にDTCチャネルは前年同期比で拡大し、全体売上に占める割合は28.3%に上昇。卸売依存からの脱却が進んでいる。加えて、営業費用の削減も進行しており、オペレーション効率の改善が利益押し上げ要因となった。
減収の裏にある戦略的な「引き締め」
一方で売上は伸び悩んでいる。これは需要低迷だけでなく、意図的な流通整理の影響も大きい。特に北米市場では、非効率な卸売ビジネスの削減が進められており、短期的には売上の圧迫要因となっている。また、スポーツアパレルや「Speedcat」スニーカーの需要鈍化、米国の関税政策によるコスト増も影響している。
経営体制と株主構造の変化
2026年は経営体制の刷新も進んでおり、元ヒューゴボスCEOであり、ダグラス(Douglas)でCFOを務めたマーク・ランガー(Mark Langer)が最高財務責任者に就任した。財務再建における実績を持つ同氏の参画は、現在進行中の構造改革を加速させる要因と見られている。
さらに株主構成にも変化が生じている。中国の安踏体育用品(Anta Sports Products)が約29%の株式を取得し、英国のフレイザーズ・グループ(Frasers Group)も主要株主として影響力を強めている。これらの動きは、同社の中長期戦略に対する外部からの関与を強める可能性がある。
在庫削減と値引き依存からの脱却は、短期的には減収を伴う。しかし、中長期的にはブランド価値の回復と利益率改善に直結するだろう。
一方で、ブランドとしての市場での存在感を取り戻し、消費者に選ばれるプロダクトを再び生み出せるかどうかは依然として課題である。この構造的課題に対し、プーマがどのようなクリエイティブおよびプロダクト戦略で応えていくのかが、次の焦点となる。
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