5月4日(現地時間)、米ビューティ企業「コティ(Coty)」が、2026年度第3四半期決算を発表した。売上高は前年同期比で減少したものの、コスト管理や投資配分の最適化によって利益面では市場予想を上回る結果となった。
フレグランス市場の減速、中東地域での地政学的混乱、マス市場の低迷など、複数の逆風が続く中で、同社は新たな事業戦略「Coty.Curated」を軸に再建フェーズへと舵を切っている。
Summary
- 第3四半期売上高は12億8,160万ドルで前年同期比1%減
- 主力のプレステージ部門は横ばい、コンシューマービューティ部門は減収
- 中東地域の混乱が売上に影響
- AI活用や製品数削減を含む新戦略「Coty.Curated」を推進
- 「マーク ジェイコブス ビューティ」の再始動を発表
売上は減少も、利益は市場予想を上回る結果
2026年3月31日終了の第3四半期において、「コティ」の売上高は12億8,160万ドルとなり、前年同期比で1%減少した。為替影響を除いた実質ベースでは7%減となっている。
同社は、中東地域における混乱が第3四半期売上に約1.4%のマイナス影響を与えたと説明している。
部門別では、全体売上の約65%を占めるプレステージ部門の売上高は8億3,090万ドル。報告ベースでは前年並みだったが、実質ベースでは5%減少した。一方、マス市場を中心とするコンシューマービューティ部門は4億5,070万ドルとなり、報告ベースで4%減少している。
ただし、利益面では市場予想を上回った。背景には、広告投資の一部を第4四半期へ移行したことに加え、コストコントロールの徹底がある。
「Coty.Curated」で構造改革を本格化
暫定CEO兼エグゼクティブチェアマンを務めるマーカス・ストローベル(Markus Strobel)は、今回の決算について次のようにコメントしている。
「第3四半期は、コティが持つ優れた資産と能力に見合う、安定した業績を取り戻すための重要な一歩となりました。」
さらにストローベルは、「中東事業の混乱にもかかわらず、ガイダンスを上回る利益を達成できたことを評価している」とした上で、現在進めている「Coty.Curated」戦略について説明した。
この新戦略では、重点ブランドへの集中投資、製品ローンチ数の大幅削減、オペレーションの簡素化などを進める。また、自社ブランドにおけるAI活用を本格化させ、マーケティング用クリエイティブ制作コストを削減しながら、消費者向けエンゲージメント投資は強化する方針だ。
「私たちは、所有ブランド全体でAI導入を進めることで、マーケティングアセット制作コストを削減しつつ、消費者エンゲージメントへの投資を増やしています」とストローベルは述べている。
北米苦戦、中国・日本は成長
地域別では、北米市場が苦戦した。米国およびカナダでの売上減少が響き、アメリカ地域全体では減収となった。
一方で、アジア太平洋地域は増収を記録。中国、韓国、日本における売上成長に加え、アジアのトラベルリテール市場も追い風となった。
EMEA地域では、中東、フランス、中東欧市場の低迷が影響し減収となっている。
「マーク ジェイコブス ビューティ」が復活へ
ブランド戦略では、「ヒューゴ ボス(Hugo Boss)」「バーバリー(Burberry)」「カルバン クライン(Calvin Klein)」「クロエ(Chloé)」など、フレグランス事業を中心としたコアブランドへの投資を継続する。
中でも注目されるのが、「マーク ジェイコブス ビューティ(Marc Jacobs Beauty)」の復活だ。同ブランドのメイクアップラインは2026年6月に正式ローンチ予定であり、コティにとって今後の注力ブランドの一つとして位置付けられている。
また、2027年には「スワロフスキー(Swarovski)」の新フレグランス展開も予定されている。

財務改善とブランド集中へ向かう転換期
今回の決算では、コンシューマービューティ事業に関連する3億6,280万ドルの減損損失も計上された。株価下落や将来収益予測の引き下げを反映したものであり、同社がポートフォリオ再編を急いでいることを示唆している。
一方で、営業キャッシュフローは前年同期比で増加し、フリーキャッシュフローも改善。負債削減と財務体質強化を優先事項として掲げる姿勢も鮮明になった。
「コティ」は現在、“ブランドを絞り込みながら利益体質を再構築するフェーズ”へと移行している。AI導入やマーケティング改革を含めた今回の動きは、ビューティ企業に求められる新たな収益構造改革の方向性を示す動きとして注目される。
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